ごあいさつ      「世界初のCAR CENTERに」

最初に心惹かれたのは、茫然としたイラン平原を走るメルセデスベンツ600プルマンの姿だった。 地平線をバックに、どっしりと大きい肢体を伸ばし、男の中の男といった風格だった。

「いつか自分もこんな車を持ちたい。」 そう思ってから30数年。気がつけば60台を超す外車が、身の回りに集まっていた。 まだまだ走れる車もあれば、もう年老 いて“走る”という本業から退いた車もある。

「好きで買ったんだが、自分のところでは埃まみれでね。君のところなら磨いてもらえるからな。」 と預けられた車もあれば、「持て余した。」と捨て子同然に置いていかれた車もある。 それぞれに20世紀を駆け抜けた同朋だ。とてもつぶせるものではない。

「いっそ車の養老院を作るか?」 この一言の冗談が現実になり、世田谷の(株)ガレージミトの水戸照昌氏、茨城の(株)オートバーグの大山稔氏、会社の工場の地元福島県双葉郡楢葉町のご協力を得て、 平成9年9月にこのOLD CAR CENTER KUDANがオープンした。館長夫妻のこまめな手入れのお陰でもあるが、一台一台が、再び浴びたライトの下で、 顔をキラキラと輝かせてその歴史を語りかけている。

訪れた方々は、みな一様に、年代の重みと美しさに感激したとおっしゃる。 そして、その言葉に私も感激する。

もしもどなたかのガレージに、埃だらけになった歴史的に貴重な車が眠っていて、 当館に預けたいと思われるならご相談に応じよう。 脚光を浴びて生き返った車の顔は、持ち主の最高の喜びになるに違いない。

善意で預けられた車でつくるCAR CENTER、それこそ世界に一つしかない車の養老院だ。

日本の福島県双葉郡楢葉町に、みんなの頭と力を合わせ、世界で初めての 老いた車たちの憩いの場をつくろうではないか。

1997年

中岡栄三

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